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やまね洞 で居眠りしていたいけど(ひとり本屋のぶつぶつ)

ひとり本屋「やまね洞」の中のねこ店員(ニンゲン)が、本などの話を思いつくままに。

大正時代の「インスタグラマー」と呼んでいいのかなあ。

最初にお断りしておかないといけないのでしょうね。
猫店主は、InstagramYouTubeなどは、とりあえずやっていません。

正直、写真、画像をネット上で取り扱うことが大変だなあと思っておりますので、画像使用は極力避けていますし、今後も避け続けていきたいと思っています。

 

こうした写真+コメント、動画+コメントといった、目の前に見える事象・状況を切り取って記録し、公開する活動が、こんなに普通のことになるとは思ってもいませんでした。スマホが登場したことは、調査、記録方法を一変させたと言えるでしょう。

 

スマホ登場以前は、野帳(やちょう:記録ノート)を片手に、カメラを抱えて、フィルムを無駄にしないように1カット1カット考えて、効率的にどういうアングルで撮影するかとかを思案しながら撮影したり、画板に挟んだ住宅地図に細々と書き込みをしたりしたものです。

 

こうした活動は、路上観察学会と呼ばれたこともありました。

 

赤瀬川原平藤森照信南伸坊荒俣宏杉浦日向子などがかかわっていて、今も #路上観察学会 で楽しむことができますが、それを見はじめるととまらなくなってしまう(笑)。また、一部で"マンホール拓本"の収集、披露の活動もじわじわと広がりをみせているようですが、これもこの流れをくむ活動と考えていいだろうと思います。

 

こうした記録活動はいつごろ始まったのかというと、1923(大正12)年の関東大震災が契機だと言われます。

 

震災後、焼け野原になった東京を、1人、詳細にスケッチ、写真に撮ってまわった人物がいます。

 

今 和次郎(こん わじろう)氏です。

 

焼け野原のあちこちに、にょきにょきと建つバラック
その記録から始まって、銀座を歩く人たち、露店の様子、山の手郊外・・・。かなりの人力は投入されていますが、その記録は圧巻。


新しくできる東京がどうなるのか記録したくなったという思いがよく伝わってきます。

 

この活動を考現学(こうげんがく)」と名づけたのも、今和次郎です。現実、目の前にある現状を、考古学のようにこまかく、学術的に調査するんだという意図だそうです。

 

考現学の手法にそって記録されたさまざまな当時の東京をさまざまな角度で整理、まとめた本が昭和4(1929)年に刊行されました。


今和次郎 編さん
『新版 大東京案内』中央公論社 1929年

 

これが、ちくま学芸文庫に収録されて、2001年に上下巻で発売されました。

 

「盛り場」「遊覧の東京」「東京生活百態」といった見出しが並びます。わくわくします。大正後期から昭和初期のモボ・モガの時代と言われる、ある意味バブリーな時代の東京を感じることができるのです。
この時期のことが何となく気になっている猫店主としては、ありがたい本です。

 

今和次郎氏を「インスタグラマー」と呼ぶのは、ちょっと違うか。

 

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