これは、文化財として名古屋城を復元するのか、しないのかというところの話になるので、あんまり外で騒がないほうがいいんではなかろうかと、猫店主は思ったりします。つまり、復元のクオリティをどこまで上げるつもりなのかということですね。創建当時に限りなく近づけるということであれば、「バリアフリー?何それ?」と、中世、戦国時代には存在していない概念の入る余地は原則なくなるということです。
ところで、この復元計画は、徳川家康による名古屋城の復元になると思いますが、その前はというと、織田家の居城(きょじょう:当主が拠点として通常生活をする城)でした。
織田信長の父、織田信秀(おだのぶひで)が1532(享禄5)年に今川氏を追い出して手に入れ、那古野(なごや)城として整備、居住したことから、信長はここで生まれたのではないかという説があったりします*1
その後、信長も那古野城に一時住みますが、すぐに清須(きよす)や小牧、岐阜、安土と場所を移していくので、織田時代の名古屋城はあまり栄えたとは言えないでしょう。
しかし、とにかく戦国武将たちはよく動きますね。
数日で領内の端から端まで、あるいは、いくさとなれば、天候や農事暦もにらみつつ、有利で地の利のある場所を一刻も早く確保する必要があるわけですから、本当にあちこちに出没します。例えば、岐阜-京都間を、信長はだいたい1日で移動しています。
いつ、誰がどこにいたのか。
これまでであれば、個々の研究者が自前で、各種資史料を読み込み、地道にぽちぽちと書き出して情報を集積するしかなく、そうした地道な作業をしてからでないと、当時の状況を考えることすらできないということになっていました。
ずっと京都の御所周辺にいるはずの公家(くげ)の日記を読むのでも何をしてるか理解するのはなかなかしんどいのに、戦国大名の行動を追いかけようなんて思っただけでも、うわ~~っ、お手上げです。
それを、とにかく戦国大名1人ずつ、日ごとの行動をまとめてみようぜという勢いで、研究者たちが作業した結果が1冊の本になっています。
- ジャンル: 本・雑誌・コミック > 人文・地歴・哲学・社会 > 歴史 > 伝記(日本)
- ショップ: 楽天ブックス
- 価格: 7,344円
どんな人物の行動が出てくるかというと。
織田信長
豊臣秀吉
徳川家康
柴田勝家
明智光秀
前田利家
伊達政宗
石田三成
近衛前久
北政所(高台院:ねね)
茶々(淀の方)
など、総勢25名の動向が事細かに出てきます。
この日はどこそこで泊まったとか、誰に手紙を出したとか・・・。
どれだけの資料をチェックしたのかなあと想像すると、ただただ頭が下がるのです。そして、これを使いこなして研究する人にも尊敬のまなざしをきらきらさせて見上げちゃいますよ、本当に。