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やまね洞 で居眠りしていたいけど(ひとり本屋のぶつぶつ)

ひとり本屋「やまね洞」の中のねこ店員(ニンゲン)が、本などの話を思いつくままに。

【ひとり読書会 第02回】貝原益軒「楽訓」 -02-

少し間があいてしまいましたが、今回から「楽訓」本文、「読書」の項に入っていきましょう。
いずれ読み終わって、まとまりになったら、全文集めて、整理しなおそうかと、今のところ思っています。

 

とりあえず、最初の「ひとつがき」を読んでみます。

 

「ひとつがき」は、「一つ書き」と書きます。
「一」と書いてありますが、"ひとつ"と読みます。
時代劇中、寺子屋(学校)の風景が出てくると、お約束のように『論語』などの本をみんなで読み上げている場面になったりします。そのとき、「ひとーつ」と子どもたちと発声しているのがこれですね。

 

★「楽訓」本文(読みくだし)★

無理に読む必要はありません。
読んでみようかなと思った方はチャレンジしてみてください。
飛ばして読んでもOKです。

 

<読書>
一、およそ読書の楽しみは、色を好まずして悦び深く、山林に入らずして心閑(しず)かに、富貴ならずして心ゆたけし。此の故(ゆえ)に、人間の楽しみ、是にかわるものなし。

天地陰陽を以て道の法(のり)とし、古今天下を以て心を遊ばしむる境界にして、其のおもむき至りて大いに広きこと極まりなし。

一日書を読むの楽しみ至れるかな。聖賢のふみ(書)を見て、其のこころを得て楽しむは楽しきことの至りなり。

其の次に、いにしえの事を記せるふみ(史)には、我が国は、神武天皇より今年まで2370年、もろこしは黄帝より今まで4400年の間の事をのせたり。

此の故に、からやまとの史(ふみ)を見れば、遠きいにしえのあと、目の当たりに明らかに見えて、我が身あたかも其の世にあへる心地して、数千年のよわい(齢)をたもてるが如し。此楽しみもまた大いなるかな。

今、目の前なる事のみを見て、いにしえのふみを知らざるは、極めて頑(かたくな)し。「人、古今に通ぜざるは馬牛にして襟裾(きんきょ)す」と、韓退之もいへり。古き書(ふみ)を見ず、いにしえの道を知らざる人は、よろずの理(ことわり)に暗く、もろもろの事を知らず、夢見てさめざるが如く、迷いて一生を過ごす。是、大いなる不幸なるかな。

およそ古今の書に通じて、理(ことわり)を極め、事をしれらば、我が心のうち、万物の理、見る事聞く事に疑いなくして大いなる楽しみなるべし。いにしえの書(ふみ)を知らざれば、からやまと古今天地のうちにみちみちたる理(ことわり)も事もみな通ぜずして暗しというべし。

 

★猫店主的現代文訳★

 

<読書>

読書の楽しみは、人間関係やら何やらのストレスから開放されて、深く楽しめるものでもあり、山の中にこもらなくても心しずかに落ち着けるものであり、お金がなくても心豊かになるものでもある。だからこそ、人間の楽しみとしてこれ(読書)にかわるものはない。
太陽のもと、地に足をつけて生きる道しるべでもあり、時間を超えて、場所にこだわらず、心を遊ばせる場所でもあり、読書というもののよさは切りがなく、その世界はとてつもなく広く限りない。一日中、本を読んでいられたら、その楽しさといったらもう最高である。
昔の偉い人や尊敬されている人の書いたものを見て、その意味を理解し楽しむのは、一番楽しいことである。
その次に、昔のことを記録した史書(ふみ)、つまり歴史書には、我が国日本は神武天皇以来今年(宝永7(1710)年)まで2370年、中国は黄帝(伝説上の皇帝、漢民族の最初の皇帝)から今まで4400年の間のことが記録されている。だからこそ、中国、日本の歴史書を見れば、遠く古い昔のことも目の前で、今起きたことのように見えて、自分があたかもタイムワープしてその時代を目撃するような気持ちになって、数千年も生きているようなものである。この楽しみもとても貴重なものである。
今、目の前に見えることだけを見て、昔の人の言葉や歴史を知らないでいるというのは、愚かしくて風流も理解できないことになる。「人、古今に通ぜざるは馬牛にして襟裾す」(人が昔のことから今のことまでよく知らないというのは、馬牛に着物を着せることである)と韓退之(韓愈:かんゆ)も言っている。
昔の人の言葉や歴史を読まないで昔の道理、考え方を知らない人は、あらゆる道理、常識に暗く、さまざまなことを知らず、夢見がちなままな人のように、迷ったまま一生を過ごす。これはとんでもなく不幸なことである。
だから、古いものから新しい本までよく知って、道理を追究してものごとを知ることができれば、自分の心の中は、さまざまな道理や見聞きすることについて疑いを抱くことなく、非常に楽しみとなるはずである。
昔の人の言葉や歴史を知らなければ、日本だけでなく、世界に広がる常識や事実も全て通じないので、うとい人になってしまうのである。

 

★猫店主の一言(補足とまとめ)★

 

しょっぱなから、読書礼賛しまくりです、益軒さん。
本を読まないでどうするのよ、と推薦しまくり、押しまくり。
80代、今の感覚だと多分100歳超えであろう、おじいちゃんのこの勢いはどこまでいくでしょうか?

 

韓愈について
中国の唐の時代の人。文章を書き、詩を読んで、大家とされる人の1人。
日本でも参考にすべき人として知られました。

 

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