図書かふぇ やまね洞 の猫店主です。
窓のそばで、うとうと、ぽかぽかしていたいような日が続きますね。梅が咲き始めたので、ちょっと早くないかと心持ち心配になっていたりします。
「日本国憲法」を知ろう シリーズです。
2冊目を取り上げたいと思います。
前回は、読み聞かせに最適な、わかりやすさ追求型で、日本国憲法の前文についての本でした。
作: 松元ヒロ
絵: 武田美穂
『憲法くん』
講談社 2016年
前回記事はこちらになります。
今回は、わかりやすさを追求しつつ、内容をしっかり読んでみようという本です。
翻訳: 柴田元幸
法律用語監修: 木村草太
編集: 英語出版編集部
『現代語訳でよむ日本の憲法』
アルク 2015年8月
日本国憲法は103の条文からできています。前文に続いて11の章に各条文がまとめられています。最初の章で「天皇」について定義づけをし、次に「戦争の放棄」を明言し、それから「国民の権利及び義務」「国会」「内閣」「司法」「財政」「地方自治」「改正」「最高法規」「補足」へとつながっていきます。上記の章立てから、戦前の大日本帝国憲法と異なる、新しい憲法がどこを重要視していたかが、かいま見えるようです。
1946(昭和21)年11月に日本語版と英語版が同時に公布されました。占領期ですから、GHQ(連合国総司令部)のOKが出たものを、彼らが分かるように英語でも発表する必要がありました。これが日本語版と英語版が存在する理由です。
この正式な英語版 日本国憲法 を素直に日本語に直したらどうなるか、という挑戦をしたのがこの本になります。
翻訳家の 柴田元幸 氏は「この英語を「普通に」読めばどうなるのか」というやり方で日本語にしたそうです。見開きで、左に柴田訳、右に英語版。すっきりした日本語が続きます。
この本の後半部の柴田元幸氏と木村草太氏の対談はもっと聞いてみたいところなのですが、単語の持つニュアンスの違いなど、両氏が気になるところがどこなのか、興味深いところです。
GHQの草案を日本に合うようにしたり、国会での討議の上で文言が修正されたりした日本語版を英語にした人たちの思いを感じ取れるんじゃないかと思います。柴田訳と日本語版(正文)を見比べた後は、そのまま 福永文夫『日本占領史 1945-1952 東京・ワシントン・沖縄』(中公新書 2014年)に走ろうかなと思ったりして。
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